医療事務員や調剤薬局事務員として働いている際、記載ミスや入力ミスなどが原因で重大な事故を引き起こす可能性もあります。重大な事故を防ぐためには、実際に起きたヒヤリハットを事前に把握しておくことも重要です。この記事では、ヒヤリハットに参加している薬局数や報告件数、よくあるインシデント事例を詳しく紹介します。
ヒヤリハットに参加している薬局数と報告件数
患者に健康被害が発生していなくても、ヒヤリとしたり、ハッとしたりした出来事をヒヤリハットといいます。薬剤の交付前後や、患者が服用に至ったかどうかは問いません。日本医療機能評価機構では、薬局におけるヒヤリハットの事例収集および分析事業として報告書をまとめています。
ヒヤリハットに参加している薬局数と報告件数
参加している薬局数は、増加傾向にあり、報告件数も増加しています。報告書がまとめられるようになった2009年は、薬局数は1,770件、報告件数は1,460件でした。2020年になると、薬局数は4万957件、報告件数は12万9,163件まで増加しています。
薬の有効性や安全性の向上には、服薬情報の把握と薬学的管理や指導の取り組みが重要です。それらの事例を踏まえて、情報を共有することが重要であると考えられています。
報告件数の内訳
2009年からの10年間は、調剤に関する内容がほとんどでした。しかし、2018年から疑義照会の件数が急激に増加しています。疑義照会とは、薬剤師が処方箋の内容を医師に問い合わせることをいいます。
処方箋中に疑わしいことがあった場合、発行した医師に問い合わせて照合できるまで処方してはいけません。そのため、疑義照会の件数が多いのは悪いことではなく、ミスを防ぐための対応ができていると考えられます。
よくあるインシデント事例
実際に起きた、薬局でのインシデント事例を紹介します。
薬剤の取り違え
調整者が取り揃えるべきだった薬剤の取り違えです。監査者と交付者の両方が間違いに気がつかず、患者に薬剤を交付しました。服用後に薬剤が違うことに気がついたという事例がありました。薬剤の取り違えは、重大な健康被害を引き起こす恐れもあります。
投与日数
調整者が取り揃えて監査者に回したところ、投与日数に疑問が生じ間違いが発見されました。特殊な服用方法の錠剤であることに気がつかなかったことが原因です。
休薬期間が必要な内服薬も存在するため、連日服用してしまうと重篤な副作用が発生する恐れがあります。休薬機関が必要な薬剤は複数存在するため、管理体制に注意しなくてはいけません。
名称疑似薬の処方間違い
名称が似ている薬剤の処方間違いです。花粉症患者に対し、糖尿病治療薬が処方されており疑義照会を行った事例があります。糖尿病治療薬はハイリスク薬なため、誤って服用してしまうと、重大な健康被害を引き起こす恐れがあります。
同成分の重複
複数の医療機関を受診している患者に対し、同成分が重複していた事例があります。同成分の重複は、処方医がお薬手帳を確認していなかった可能性が高いでしょう。精神科や心療内科、内科、整形外科など、複数の医療機関から処方される薬剤もあるので、注意しなくてはいけません。
ヒヤリハットが発生する要因とは
薬局におけるヒヤリハットが発生する要因を見ていきましょう。
身体的・心理的な問題
調剤業務には、処方箋を読み取る頭脳労働と、計数や散剤の調剤などの肉体労働が求められます。そのため、睡眠不足や過労などの身体的な問題や、他のことに集中して焦ってしまうという心理的な問題により、ミスが起きることがあります。
また、集中力が続かない人や、細かい部分まで気にしすぎてしまう人は、ミスしやすい傾向にあるため、注意が必要です。
作業に慣れてしまっている
長く勤めていると、調剤業務に慣れが生じている場合もあります。基本的なマニュアルを遵守していないことや、業務への怠慢などが原因でミスが起きてしまいます。業務に不慣れな新人はもちろんのこと、経験者に対してもミスの予防対策をすることが重要です。
知識不足や経験不足
知識不足や経験不足もミスと原因となります。薬物療法は日々進歩しており、膨大な数の薬を扱うため、新しい情報の収集や、知識や技術の習得が求められます。
管理体制の問題
教育するための業務マニュアルや研修など、管理体制が整っていない場合があります。管理体制に問題があると、薬剤師のレベルを維持できずミスにつながってしまいます。
人材不足
業務量に見合った人材が確保されていなかったり、フォロー体制が整っていなかったりすると、ミスが起きやすいでしょう。また、繁忙期などの普段と異なる業務体制になると、ミスが起きる原因となります。
まとめ
薬局におけるヒヤリハットについて紹介しました。薬局業務では、患者の健康被害が発生する重大な事故につながるリスクが常にあります。ヒヤリハット事例の周知を徹底し、再発防止の対策をたてることが重要です。ヒヤリハットが起きやすい状況を分析し、重大な事故を起こさないように、慎重に取り組みましょう。
-
調剤ミス・クレーム・業務過多でお困りですか?
そのお悩み、PICKING GOが解決します!引用元:https://cp.pickinggo.pdszero.com/患者の待ち時間を短くできる
タスクシフトを推進して生産性向上
予製機能で在宅医療対応ができる
最大30日間の無料お試しサービスで失敗知らず
30日間お試し利用可 公式サイトはこちら