医薬品の正確な在庫管理は、患者への適切な薬の提供に欠かせません。また、医薬品在庫の過不足は、患者からの信頼を失うだけでなく、経営にも大きな悪影響を与えます。この記事では、医薬品の効果的な在庫管理の手法や、在庫量を適切に保つためのコツについて詳しく解説しているので参考にしてください。
在庫発注の主な方法
安定した薬局経営にとって、適正な医薬品在庫管理は避けては通れない重要な要素です。欠品すれば、患者は薬を手に入れられず苦しい思いをしてしまい、薬局は売上を向上させられなくなります。
過剰在庫も薬局の経営を圧迫し、利益を失わせます。在庫の過不足は、薬局にも悪影響が多いため、しっかりと考えて発注数を決めることが大切です。一般的に多い発注方法を確認していきましょう。
カレンダーに書く
発注数の決定の参考にするデータのひとつが、カレンダーに記入された、来局予定者の記録を活用するというものです。薬局の処方量や患者の来局予定を記入しておき、これをもとに在庫の発注点を設定する非常にアナログな手法です。
非常に小さな薬局であれば問題ないかもしれませんが、見直すのに時間がかかり、見落としや記入忘れのリスクもあるため、一般的な薬局ではおすすめできません。
経験で発注する
薬品使用実績などから発注点を割り出す方法も一般的です。実績にもとづいた最適な発注点を設定でき、柔軟な見直しによる精度向上も期待できますが、薬剤師の経験に左右されるため、確実性は高くありません。
開封したら発注する
箱を開封したら発注するというシンプルな方法はよくみられます。わかりやすく、漏れが少ない反面、過剰在庫になりやすいです。
在庫管理システムに頼る
在庫管理システムのABC分析機能を利用する発注方法もあります。自動的に発注点を算出してくれるだけでなく、半自動的に発注されるのがメリットです。しかし、適切な算出パターンの設定が難しいのがデメリットです。
在庫発注の際に起こりがちな悩み
薬局に医薬品の在庫が過剰にあると、使用期限切れが心配です。また、調剤報酬改定による薬価ダウンは、薬の価値を急激に下げ、経営に打撃を与える可能性があります。
よって、薬価の変動への柔軟な対応が求められ、調剤報酬改定時期には在庫を減らす努力が必要です。このため、薬の過剰な在庫は経営上望ましくありません。
しかし、逆に在庫を絞りすぎると欠品が生じ、患者に迷惑をかける可能性があり、患者離れが発生してしまう懸念があります。
しかも近年では、出荷調整の医薬品が増加し、入荷に多くの時間がかかるケースも増えています。このような社会状況により、効率的で適正な在庫発注はますます難しくなりました。薬局で発注業務を行う人は、多くの要素を考慮しなければならず、悩みをかかえている方も多いでしょう。
具体的には、使用人数、薬価、包装容量、回転数、月末在庫、期末までの使用見込みなどについて、総合的に考慮する必要があります。とくに、散剤で複数の包装規格品のものや、一包化が多いものなどは、在庫管理が一層複雑です。
在庫量を一定に保てる「発注点割り出し」の考え方
薬局における適正な在庫管理には、発注点の適切な設定が重要です。では、どのように発注点を割り出せばよいのでしょうか。
在庫管理システムを利用する
高性能な在庫管理システムの利用が、ひとつの解決方法です。在庫管理システムが出庫量と入庫量を取り込み、発注リストを提供してくれるだけでなく、自動的に発注してくれます。
発注点の設定が課題ですが、棚卸前や薬価改定前に少し厳しく設定することで、在庫を適正に保てるでしょう。
場合によってはバラ剤を止める
しかし、在庫管理システムに任せておけば、すべて解決するわけではありません。
設定によっては、バラ錠の発注が適切に処理できない場合もあるため、バラ剤の発注点に関して、しっかりとチェックしておくことが重要です。
在庫管理システムがPTPとバラ錠を区別できない場合には、バラ錠の大量購入が在庫を増やす要因になります。PTPからバラ剤にはできますが、バラ剤からPTPには変えられません。
棚卸前や薬価改定前には、バラ錠の購入をストップし、PTPからバラして使うことも検討しましょう。
不動品を処分する
動かなくなった薬の早めの処理もポイントです。在庫管理システムは不動品のリストを提供してくれます。このリストを活用して、たとえば、90日以上処方出庫がない医薬品を確認し、早めに処分するなど、在庫量を整えましょう。
発注点はただの目安でしかなく、それで適切なのか、みずから考えて動くことが重要です。
まとめ
薬局における在庫管理は難しいものの、患者の安全と、効率的な経営のためには欠かせない要素です。欠品は患者の店舗満足度に影響し、過剰な在庫は経営リスクを生む可能性があるためです。高性能な在庫管理システムの導入による発注点の設定は、医薬品在庫の適正管理に大きな効果を発揮するでしょう。
しかし、設定された発注点は、あくまで目安でしかありません。すべてのスタッフが能動的に考えて、在庫管理に向けて動くことが重要です。システムと従業員の行動により、効果的な在庫管理が実現するのです。
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