薬局でも、薬剤師がクレームを受けることは少なくありません。クレームには慎重な対応が必要であり、それが信頼を築く上で重要です。薬局において、どのようなクレームが一般的に発生しやすいのでしょうか?本記事では、薬局でよく見られるクレーム事例とともに、適切な対応ポイントを紹介します。
薬局で発生しやすいクレームの事例
薬局において発生するクレームはさまざまで、薬剤師の対応とは関係のないクレームも多く存在しています。薬局で発生しやすいクレームの代表的な事例をご紹介しましょう。
薬が効かない
薬局のクレームでありがちなのが、処方された薬が効かなかった、合わなかったというクレームです。この薬を飲めば治ると思っていたのによくならない、即効性がないなど薬に対するクレームをいってくる人は少なくありません。
症状の原因はさまざまで、薬を飲んでもよくならない場合は早期の受診が必要であるにもかかわらず、薬局にクレームをつけてくるケースは実際に存在しているのです。また、認知症などの疾患によって薬のことをあまり理解することができず、このようなクレームに発展することもあります。
値段が高い
薬局で保険調剤をする際の自己負担額はおよそ1割から3割程度ですが、きちんと計算できずに値段が高いというクレームを受けることがあります。さらには、以前より値段が高くなった、同じ薬なのにほかの薬局より高いなどのクレームが入ることも。
薬代が変わる要因としては、薬価改定や調剤基本料の改定、夜間や休日加算などが考えられます。とくに値段が変動しやすいのが調剤報酬です。調剤報酬はあまり馴染みがなく、その存在を知らない人も多いためお金を多く取られたと感じてしまう人も少なくないでしょう。
待ち時間が長い
受付で処方箋を出してから薬を受け取るまでおよそ数分から数十分かかることがほとんどです。しかし、患者が多く混み合っている場合には1時間以上かかってしまうこともあります。
調剤師は、処方箋をしっかりと確認して正しい用法用量かどうかや複数の薬が処方された場合の飲み合わせに問題がないかどうかなど細かいチェックを行ったのちに処方されるものです。そのため、薬の種類が多いほど時間もかかってしまいます。
医療機関で長時間かかって処方箋をもらっても、処方内容に問題があれば医師に確認を取らなければならないため、さらに時間がかかることになります。
薬を返品したい
適切な調剤が行われていたにもかかわらず、副作用があったりジェネリック医薬品が思っていたのと違ったなどの理由から返品・返金を求められるケースがあります。処方箋に基づいて正しく処方された薬は返品・返金することはできませんが、薬を飲み切らなかったので余った分を返品したいといわれることもあるようです。
クレームに対応する際に大切なポイント
上記のようなクレームが入ってしまった際に、どのような点に気をつけて対応すればよいのでしょうか?クレーム対応の際には次のようなポイントを押さえて、正しくしっかりと対応しましょう。
まず謝罪をする
クレームを受けてしまったときは初期対応が非常に重要です。薬局サイドに非がない場合でも、まずは不快な思いをさせてしまったことに対して謝罪しましょう。ただし、事実確認ができていない段階でクレームの内容に対して謝罪する必要はありません。あくまで相手を怒らせてしまったことへの謝罪をすることが重要です。
そしてしっかりと話に耳を傾けて共感をしたり、誠心誠意謝罪をしましょう。クレームをいう人の中には話を聞いてもらったら気が済んだ、謝ってもらったら納得できたという人も少なくないからです。
事実確認を行う
クレームの内容をしっかりと聞いて、事実確認を行いましょう。クレームの内容を話しているうちにそのできごとを思い出して、また不快になってしまう人もいるため、話を聞きながら共感したり相槌を打ったりと、しっかり聞いている姿勢を示すことが大切です。
その上で不明な点に関しては質問したり、復唱しながら丁寧に事実確認を行っていきます。内容が間違っていたり理不尽な場合には反論してしまいたくなるかもしれませんが、まずはしっかりと話を聞いて相手の気持ちに寄り添いながら事実確認を行うことが重要です。
必要な対応を行う
事実確認が取れたらすぐに対応を行いましょう。クレームの内容に理解を示しつつ、不快に思った気持ちに寄り添いながら対応することが大切ですが、注意しなければならないのが、できることとできないことをはっきりと伝えなければならないということです。
悪質なケースだと無茶な要求や理不尽なことをいってくる場合もあります。感情に配慮しつつも論理的に、冷静に必要な対応を行わなければなりません。
もう一度謝罪と、最後にお礼を伝える
事実確認を済ませてひととおりのクレーム対応が終わったら、最後にもう一度謝罪とお礼をしっかり伝えましょう。最後の対応は印象に残りやすいため、誠意のある謝罪がもう一度必要です。
お礼に関しては、貴重な時間をいただいたことへの感謝や指摘をしてくれたことへの感謝の言葉があるとより丁寧な印象を与えることができます。
クレームへの対応をしっかりすることで信頼へつながる
クレームへの適切な対応は、信頼を築く上で不可欠です。クレームを受けると、焦ったり冷静な対応が難しくなる場合もあります。とくに相手が怒っていたり高圧的な態度をとる場合は、対応がますます難しくなるのです。
しかし、クレームが発生したときこそ、冷静さを保ち、相手に流されずに丁寧に対応しましょう。まずは相手の話を聞き、真摯な姿勢で対応することが大切です。実際、薬剤師が丁寧に対応することで、相手の怒りが収まるケースもあります。
クレームにはポジティブな思いも
クレームという言葉にはネガティブなイメージが付きものですが、丁寧な対応は信頼を築くチャンスでもあります。感情的になったり言い訳をすることは避け、それよりもクレームを通じて改善の余地があるかどうかを考えるべきです。感情的な反応や言い訳は薬局のイメージを損なうことにつながります。
クレームをチャンスととらえる
クレームを述べる人は、不満や怒りを発散したいだけの場合もあれば、改善を期待するポジティブな思いをもっている場合もあります。そのため、クレームの裏には愛情や願望があるのです。
クレームには、自分の意見や要望を伝えたいという思いや、よりよいサービスを提供してほしいという期待が含まれていることもあります。クレームが発生しても、焦ることなく、それをチャンスととらえて適切に対応することで、以前よりもよい印象を与え、信頼を回復させることができるでしょう。
まとめ
薬局で発生するクレームにはさまざまな種類があります。慣れないうちはスムーズに対応するのが難しいかもしれませんが、まずは相手の話をさえぎることなくしっかりと聞き入れ、誠意のある謝罪で誠実に対応しましょう。落ち着いて、毅然とした態度で冷静に対応することが大切です。対応方法や手順をマニュアル化しておくとスムーズに対応できるでしょう。
また、クレームを通して改善点を見つけることができたり、よりよいサービスの提供ができるようになることもあります。クレームは嫌なものと決めつけず、ポジティブな気持ちで対応してみましょう。誠意がしっかりと伝わればまた利用したいと思ってもらえたり、信頼を得ることができるはずです。
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