【新人薬剤師向け】調剤監査の手順と気をつけるポイントを紹介

公開日:2024/02/29 最終更新日:2024/12/11
【新人薬剤師向け】調剤監査の手順と気をつけるポイントを紹介

薬剤師の業務である調剤監査についてお伝えします。薬剤師の調剤監査は、誤ると患者に健康被害が及ぶ可能性がある重要な業務のため不安を抱えている、という新人薬剤師もいらっしゃるかと思います。ここでは、調剤監査の手順と気を付けるポイントを紹介します。新人薬剤師にとって必見の内容となっております。

処方監査の概要

そもそも処方監査とは、薬剤師法で定められている調剤業務のひとつあり、医師が作成した処方箋と処方内容は適切かを薬剤師が監査することを指します。

薬剤師が処方箋の内容や医薬品の種類、数量などに誤りがないかを確認するのです。患者にとって最適な処方内容になっているかを薬剤師が見極めるため、医療事故を未然に防ぐ効果が期待できるでしょう。

処方監査の手順

処方監査の形式的・薬学的観点での監査手順とポイントについて、詳しく解説します。監査によって疑問点や不明点があれば、処方医に疑義照会しなければなりません。

形式的監査

形式的監査では、処方箋の記載漏れや誤りの有無を確認します。手順のポイントは、以下の通りです。

まず、受付の際に処方箋に記載されている患者の氏名や性別、年齢などに間違いがないかをチェックします。薬を処方してもらいたいがために患者が処方箋を偽造するケースも少なくないため、医師の署名もしくは押印の有無も重要です。

処方箋の有効期限は、医師の記載がある場合を除き、原則処方日を含めた4日以内。有効期限を過ぎた処方箋は無効になり、調剤が禁止されています。

処方箋が複数枚ある場合には、患者が出し忘れるケースもあります。処方箋の「以下余白」は、処方が完結していることを指すのでしっかり確認しましょう。

処方日数や薬剤の規格、用法用量などの記載漏れや不備がないかも確認します。薬剤師の負担を軽減できる監査システムを導入している薬局も多くあり、自動化による監査業務の効率化が期待できます。

薬学的観点での監査

形式的な監査で問題なければ、処方内容が患者に適しているかを薬学的観点からチェックします。

最初に、患者の処方履歴と病状を問診票や薬歴、お薬手帳などで把握します。処方された薬剤は、患者が服用しやすい剤形で年齢や体重に適した用法用量かを確認。

過去に副作用やアレルギー反応があった薬剤や妊娠中、授乳中などの属性も考慮します。患者が他の医療機関で処方された薬や市販薬を服用している場合では、薬の重複や相互作用、副作用などにより健康を害する恐れがあるため注意しましょう。

疑義照会

疑義照会とは、薬剤師が処方箋や処方内容に疑問点がある場合に処方医に問い合わせて確認する業務です。疑義照会は法律で定められた義務であり、少しでも疑問があれば自己判断せずに処方医に確認したうえで調剤しなければなりません。

患者や患者家族とのコミュニケーションから疑義を発見することもあります。疑義照会での投与日数や投与間隔の調整、減薬により、薬剤費の削減が期待できます。

処方監査において気を付けること

処方監査において気を付けることを紹介します。

疑問点があれば疑義照会で確認する

医師の処方が誤っているケースもあるため、少しでも疑問点があれば、処方医に疑義照会しましょう。自己判断は、医療事故や健康被害を及ぼす可能性があります。

処方医に疑義照会する際に、要点がまとめられていなかったり、基本的なマナーが守られていなかったり、トラブルになるケースも考えられます。コミュニケーション能力や日頃から医師との信頼関係を築くことも重要なポイントです。

疑義照会する場合は、あらかじめ代替できる薬剤や分量を提案できるようにしておくとよいでしょう。

薬学的知識が求められる

薬剤師は、薬の調剤をはじめ患者への服薬指導や薬歴管理、処方監査、疑義照会、医薬品の管理、販売まで幅広い業務に携わります。そのため、薬剤師には、豊富な薬学的知識が求められます。

処方監査では、薬剤師の適切な判断により、医療事故を未然に防ぐことが期待できるでしょう。医薬品や治療方法は日々進歩しているため、勉強を怠らずに情報をアップデートすることが大切です。

ヒヤリ・ハットの事例を参考にする

患者への健康被害は発生しなかったがヒヤリとしたり、ハッとしたり、さまざまなヒヤリ・ハット事例が紹介されています。確認不足や知識不足による判断ミス、繁忙期の不注意などのヒヤリ・ハット事例を参考にして、想定されるリスクに備えましょう。

まとめ

この記事では、調剤監査の手順と気をつけるポイントについてお伝えしました。処方監査は、薬剤師の重要な業務のひとつです。医師が作成した処方箋や処方内容に少しでも疑問点や不明点がある場合は、処方医に疑義照会することが義務付けられています。

新人薬剤師は、日々進歩している医療情報のアップデートや学び続けることで、処方監査のクオリティを高められるとよいでしょう。

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