
調剤薬局の開業は、薬剤師としての経験を活かし、地域医療への貢献と高年収を実現できる魅力的な選択肢です。しかし、開業準備には何から手をつければ良いのか、資金はいくら必要なのか、不安を感じる方も多いでしょう。この記事では、調剤薬局の開業方法から、具体的な7つのステップ、必要な資金と年収の目安、そして失敗を避けて成功へと導く秘訣まで徹底的に解説します。計画的に準備を進め、理想の薬局開業を実現させましょう。
目次
調剤薬局の開業は儲かる?勤務薬剤師との年収比較
調剤薬局の開業を考えるうえで、最も気になるのが収入面でしょう。個人経営の薬局の平均年収は500万円〜800万円です。一方で、開業した管理薬剤師の平均年収は約800万円というデータもあり、運営次第で高収益が期待できます。
勤務薬剤師の平均年収が400万円前後であることをふまえると、開業は大幅な年収アップを目指せる選択肢といえます。もちろん、経営者としての責任は伴いますが、自身の裁量で薬局を運営し、努力が直接収入に反映される点は大きな魅力です。
調剤薬局の開業方法2種類
調剤薬局の開業には、大きく分けて2つの方法があります。それぞれにメリットとリスクがあるため、ご自身の状況に合わせて最適な方法を検討することが成功の第一歩です。
新規開業|理想の薬局を一から創り上げる
新規開業は、場所や内装、サービス内容など、すべてを自分の理想通りに設計できるのが最大のメリットです。地域のニーズに合わせた独自のコンセプトを掲げ、やりがいを感じながら薬局を育てていけます。
ただし、物件取得から内装工事、医療機器の導入、新規の患者獲得まで、すべてをゼロから始めるため、開業資金は高額になりがちです。また、経営が軌道に乗るまでには時間がかかるリスクも考慮しなくてはなりません。
M&A(承継開業)|既存の資産を活かして安定スタート
M&A(承継開業)は、既存の調剤薬局を譲り受ける方法です。すでに患者や取引先、従業員、設備などがそろっているため、開業初期から安定した収益を見込めるのが大きなメリットです。一方で、既存の薬局の経営方針や従業員との人間関係を引き継ぐ必要があるため、自分の理想通りに運営できない側面もあります。
調剤薬局の開業を7ステップで解説
調剤薬局の開業準備は、多岐にわたります。開業日から逆算し、計画的に進めることが成功の秘訣です。ここでは、開業までの流れを7つのステップに分けて具体的に解説します。
STEP1:コンセプト設計と事業計画の策定
どのような薬局にしたいのか、コンセプトを明確にします。「地域密着のかかりつけ薬局」「在宅医療に特化した薬局」など、コンセプトに基づき、提供サービス、ターゲット層、資金計画などを盛り込んだ事業計画書を作成しましょう。この計画書は、資金調達の際にも不可欠です。
STEP2:開業エリアの選定と物件の契約
事業計画に沿って、開業エリアを決めます。周辺の医療機関数や競合薬局の状況、人口動態などを十分に調査することが注目すべきポイントです。条件に合う物件が見つかったら、契約を進めます。
STEP3:資金調達
自己資金で不足する分は、資金調達で補います。日本政策金融公庫の創業融資や、銀行・信用金庫の融資、補助金・助成金など、多様な選択肢があります。事業計画書をもとに、早めに相談を始めましょう。
STEP4:内装工事と設備・医薬品の準備
物件の契約後、内装・外装の工事に着手します。並行して、分包機やレセコンなどの調剤機器、什器、医薬品などの準備を進めます。中古品やリースを活用すると、初期費用を抑えられるためおすすめです。
STEP5:各種許可申請の手続き
調剤薬局の開業には、保健所への「薬局開設許可申請」と、地方厚生局への「保険薬局指定申請」が必須です。申請時期や提出書類は自治体によって異なるため、事前に必ず確認し、余裕をもって手続きを進めましょう。
STEP6:人材の採用と研修
薬剤師や事務員など、必要なスタッフを採用し、開業に向けた研修を実施します。薬局の評判はスタッフの対応に大きく左右されるため、理念を共有できる人材の確保が欠かせません。
STEP7:広告宣伝と開業
ウェブサイトの作成やチラシの配布など、地域住民や近隣の医療機関に向けて開業を告知します。すべての準備が整ったら、いよいよ開業です。
調剤薬局の開業に必要な資格と許可申請
調剤薬局を開業・運営するためには、法的に定められた資格者の配置と、行政からの許可が必要です。ここでは、特に重要な2つのポイントを解説します。
必須資格|管理薬剤師の配置
調剤薬局には、必ず1名の「管理薬剤師」を配置しなくてはなりません。管理薬剤師は、医薬品の管理や従業員の監督など、薬局全体の管理責任を担う薬剤師です。
経営者自身が管理薬剤師を兼ねることも、資格を持つ薬剤師を雇用することも可能です。ただし、管理薬剤師は他の薬局との兼務が原則認められていないため、人員の配置には注意しましょう。
必須の許可申請|薬局開設許可と保険薬局指定
保険調剤を実施するためには、2つの行政手続きが求められます。一つは、管轄の保健所から得る「薬局開設許可」です。施設の構造設備などが基準を満たしているか審査されます。
もう一つは、地方厚生局から受ける「保険薬局指定」です。保険薬局指定を受けられれば公的医療保険を使った調剤業務が可能になります。どちらも開業に不可欠な手続きなので、計画的に申請を進めましょう。
調剤薬局の開業資金はいくら必要?
調剤薬局の開業には、まとまった資金が必要です。立地や規模によって大きく変動しますが、賃貸物件で開業する場合、1,500万円~3,000万円程度が目安とされています。以下で開業資金について詳しく解説します。
開業資金の主な内訳
開業資金は、物件取得費で150万~250万円、内装・設備費として500万~700万円、加えて
調剤機器類をそろえるのに400万~600万円が必要です。また、必要な医薬の初期在庫 費用として300万円程度は見込んでおいたほうが良いでしょう。
当然、人件費、家賃、水道光熱費の運転資金も必要なので、頭に入れておいてください。特に調剤機器は高額ですが、中古品の導入やリース契約を検討することで初期投資を抑えられます。賢く活用しましょう。
主な資金調達方法
自己資金だけでは不足する場合、公的融資を受けるのが一般的です。日本政策金融公庫の「新規開業資金」など、比較的低い金利で借り入れられます。銀行や信用金庫からのプロパー融資や制度融資を指す、民間融資も活用しましょう。
また「小規模事業者持続化補助金」や「IT導入補助金」など、返済不要の支援制度も活用できるので、補助金・助成金の制度はしっかりチェックしてください。融資や補助金の申請には、事業計画書の提出が必須です。審査には時間もかかるため、早めに準備を始めましょう。
調剤薬局の開業を成功させる3つの秘訣
全国に数多く存在する調剤薬局のなかで勝ち抜くためには、戦略的な経営が不可欠です。ここでは、開業を成功に導くための3つの秘訣を紹介します。
徹底した立地と競合の調査
薬局経営は立地が収益を大きく左右します。近隣の医療機関の診療科目や処方せん枚数、周辺の住民構成、競合薬局の有無などを徹底的に調査しましょう。
「門前薬局」として特定の医療機関の近くに出店するのか、複数科の処方せんを受ける「面対応薬局」を目指すのか、立地調査に基づいて戦略を立てることが成功の第一歩です。
「かかりつけ薬局」としての機能強化
単に薬を受け取るだけの場所ではなく、健康に関するあらゆる相談ができる「かかりつけ薬局」としての信頼を得ることが、リピーター獲得につながります。
患者一人ひとりの服薬情報を一元管理し、丁寧な服薬指導や健康相談に応じることで、患者満足度を高めましょう。他店にはない付加価値の提供が、安定経営の基盤を築きます。
ITツール導入による業務効率化
薬剤師が患者と向き合う時間を最大限に確保するためには、業務の効率化が欠かせません。最新の調剤機器や電子薬歴、キャッシュレス決済システムなどを導入することで、調剤業務や会計の時間を短縮できます。
削減できた時間を服薬指導や在宅医療などの対人業務に充てることが、薬局の価値向上に直結します。
まとめ
調剤薬局の開業は、入念な準備と戦略があれば、薬剤師にとって大きな可能性を秘めた挑戦です。開業までの流れを正しく理解し、綿密な事業計画を立てることから始めましょう。新規開業かM&Aか、ご自身の状況に合った方法を選択し、必要な資金計画、資格・許可申請を着実に進めるようにしてください。この記事が、あなたの調剤薬局開業という夢を実現するための一助となれば幸いです。
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