調剤薬局や大きなドラッグストアなどでは、薬剤師は複数人でチームとなって働くケースが多いです。しかし、小さな薬局ではほかに薬剤師のいない状態で働くことになる場合があります。本記事では、一人で働く薬剤師のメリットとデメリットについて詳しく紹介。業務改善を行う方法についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
一人薬剤師の行う業務
一人薬剤師の行う業務は、処方箋のチェックから調剤、会計、薬歴入力まで多岐に渡ります。薬剤師一人当たりが担当できる処方箋枚数は法律で40枚までと定められているため、1日の来店者数が多い職場を一人で回すことはありませんが、それでも業務を分業できない分、大変な一面があるのです。
人間関係に悩まされず自分のペースで働きたい人にとっては最高の職場といえますが、ひとつの作業だけを担当したいと考える人にとってはきつい職場だといえるでしょう。
一人薬剤師を取り巻く現状
2021年の厚生労働省の調べによると、常勤の薬剤師が一人のみの薬局は、全体の約3割程度も存在することがわかっています。
ひとつの薬局当たりの在籍薬剤師人数は地域ごとにも違いがあり、人口密度の高い東京では2人以上の薬剤師が在籍している場所が多く、一人薬剤師の薬局は3割程度だといわれているのです。薬剤師として働きたい地域でも、一人薬剤師になる確率は変わってくるといえるでしょう。
一人薬剤師をするメリット
通常複数人のチームで働くところ、一人で働くとなると悪い印象を抱く方もいるかと思います。しかし、一人ですべての業務を担うことにはメリットもあるのです。
たとえば、人間関係で悩まなくなることや自分の今後のキャリアにとってよい経験になること。薬剤師一人あたりの処方箋上限は法律で定められているため、通常複数人で行うような業務量を一人でこなさなければいけない、といった状況に陥ることはありません。
人間関係の構築が苦手な場合や将来的に薬局の開業を検討している場合は、一人の職場に挑戦してみるのもおすすめです。
周りを気にせず自分のペースで働ける
一人薬剤師は、仕事でほかの薬剤師と関わらないため、周りを気にせず自分のペースで働けるメリットがあります。仕事中周りの目が気になって集中できない人に最適です。
人間関係での悩みがなくなる
最大のメリットは、人間関係での悩みがなくなることです。一人薬剤師は職場に自分以外の薬剤師がいないため、仕事中お客さん以外の人と関わる機会がほとんどありません。
休憩中も一人のため、職場の人との雑談を楽しみとしている人にとっては苦痛かもしれませんが、薬剤師の仕事が好きなのに職場の人間関係に悩まされている人に取っては最高の職場だといえるでしょう。
よい経験になる
一人薬剤師は自分だけで薬局のすべての業務を回すことになるため、将来的に自分の薬局を開業したい人にとってよい経験を積むことが可能です。将来のキャリアとして独立も検討しているのであれば、一人の職場も経験してみるとよいでしょう。
大きな成長が見込める
一人薬剤師は、複数薬剤師がいる場合は分業していた箇所をすべて一人で担当するため、大きな成長が見込めます。仕事の幅が広くきつさを感じる一面もありますが、同時に大きな成長が見込めるため、薬剤師としてさらなるスキルアップを目指している人には最適な職場だといえます。
給与が高い傾向がある
一人薬剤師は、業務の幅が広く、責任も発生することから複数人薬剤師が所属している職場よりも給与が高い傾向があります。年収換算すると50~100万円ほど年収が高いといわれており、複数人薬剤師がいる現場よりも稼ぐことが可能です。
薬剤師を続けながらより多く稼ぎたい場合、一人薬剤師を目指してみるとよいでしょう。
患者と関わる機会が多い
薬剤師が自分一人の職場で働くと、接客もすべて自分で行う必要があるため、必然的に患者とかかわるタイミングが増えます。そのため、多くの患者と関わることで、患者一人ひとりに合わせたコミュニケーション能力を磨けるのです。また、患者の顔が見えることから大きなやりがいを感じられる可能性が高いでしょう。
一人薬剤師をするデメリット
一人薬剤師にはさまざまなメリットがあると先述しましたが、デメリットも同時に存在します。ここでは、一人薬剤師として働くことのデメリットを詳しくご紹介。一人の職場に転職する前に、転職した後で後悔しないようデメリットを把握しておくとよいでしょう。
業務範囲が広く疲弊する
一人薬剤師は、大きな調剤薬局では複数人で分担して行っていた作業をすべて一人で行うことになります。そのため、人によっては業務範囲が広すぎることが原因で疲弊する可能性があるでしょう。
対応業務は一人でも複数人で行っているところでも変わりませんが、作業が完全に分業化された職場で働いていた場合には、一人薬剤師に転職すると疲れてしまうかもしれません。毎日ひとつの作業だけを集中して取り組みたいと考えている方には、一人薬剤師は向きません。
休憩を自由に取れない
休憩が自由に取れないことも一人薬剤師ならではの悩みといえるでしょう。薬剤師が複数人在籍している調剤薬局であれば、客足が減ったタイミングで数人が昼休憩を挟んでも店先にほかの薬剤師が残るため、店内が空くことはありません。
しかし一人薬剤師の場合は、自分以外に薬剤師が存在しないため、自分が昼休憩を取りに外出してしまうとお店を締める必要性が出てきます。また、客足が途絶えてやっとの思いで休憩に入った途端、食事中にお客さんが処方箋をもってくることも考えられるでしょう。
一人薬剤師の場合は、ほかの薬剤師に気を遣う必要はありませんが、休憩を自由にとることはできません。
監査でダブルチェックを行えない
薬剤師が自分だけのため、処方薬の監査でダブルチェックを行えないこともデメリットのひとつです。一人薬剤師は、すべての業務を一人でこなさなければいけないため、監査もダブルチェックが行えません。
自分で2回チェックを行うこともできますが、間違っているかもしれないという不安と緊張感が常に付きまとい、複数薬剤師がいる職場より疲れてしまう可能性が考えられます。監査業務の自動化ツールの導入を行えば、一人薬剤師でもダブルチェックが可能になるため、場合によっては導入を検討するとよいでしょう。
わからないことや困ったことを相談する相手がいない
一人薬剤師は、職場に同じ薬剤師がいません。そのため、仕事中にわからないことや困った事態が発生しても誰にも相談することはできません。精神面での負担が大きく、常に勉強し続ける姿勢も同時に求められますが、業務は決して楽ではありません。
しかしその分、今後のキャリアに活かせるほどのスキルや経験が身に付きます。一人薬剤師は、わからないことや困った事態が発生しても、自力で解決する姿勢を取れる人に向いているのです。
有給が使いづらい
一人薬剤師は、職場に薬剤師がいないことから有給が使いづらいという一面もあります。自分が休むと薬の処方が行えなくなることから、自分の予定や体調に合わせて仕事を休むことができず、私生活も優先したいと考えている人にとってはストレスになる場合があるのです。
有休を自分の予定に合わせて取りたいと考えている場合は、一人薬剤師よりも薬剤師が常に複数人働いているシフト制の職場などが向いているでしょう。
まとめ
ここまで、一人薬剤師のメリットとデメリットについて紹介しました。一人薬剤師は通常分業を行う業務もすべて一人でこなさなければいけないことから、大変そうなどのマイナスな印象を抱く人が多いですが、メリットも豊富で大きなスキルアップが期待できる働き方です。
すべての業務をひととおり自分一人でこなせるようになるため、将来的に自分の薬局を開くことを目標にしている方や職場の人間関係に悩まされたくないと考えている人に向いています。将来的に独立を考えている場合は、一人の職場に挑戦して自分だけで業務を行う感覚を掴んでおくのもよいでしょう。
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