オンライン服薬指導とは、パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器を活用して実施する服薬指導サービスです。薬剤による治療を効果的かつ安全におこなうためには、薬剤師による服薬指導が欠かせません。今回は、薬剤師による服薬指導をオンラインで受けられる便利なサービスの導入にかかわる要件と、開始に必要な準備について解説します。
オンライン服薬指導の要件
住む場所や時間的な制約によって、処方される薬剤の指導を十分に受けられない患者にとって、場所や時間を選ばずに薬剤師とつながれるオンライン服薬指導は有効なサービスです。
従来は対面での服薬指導を受けてからでないとオンライン服薬指導に移行できないルールがありましたが、現在は法改正により規制が緩和され、初回からでも薬剤師の判断と責任に基づいてオンライン服薬指導を受けられるようになりました。
便利なオンライン服薬指導サービスですが、導入するにあたって、必要な法的要件やプライバシー保護の基準を把握することが重要です。たとえば、個人情報の取り扱いやセキュリティ対策は、患者の信頼を得るために欠かせない要素です。
オンライン服薬指導の要件として、映像および音声によって対応すること、服薬に関する必要最低限の情報等を明らかにすること、かかりつけ薬剤師・薬局により指導することなどが求められます。対象となる薬剤は原則としてすべてが対象となり、どの診療の処方箋でも可能です。電話(音声のみ)の説明は不可能なことに注意が必要です。
オンライン服薬指導に移行するメリットとして、遠隔地に住む患者や移動が困難な患者に対するサービス提供がスムーズ化する効果が挙げられます。また直接対面での情報交換に限定されないので、情報提供の機会が増加し、患者の理解度や満足度を向上させることに有効です。
オンライン服薬指導開始に合わせて必要なツール準備
薬局がオンライン服薬指導へ移行するにあたり必要な準備を大きく分けると、ビデオ通話システムの設置、運用手順の見直し、薬剤師の研修、患者への情報提供の重要性の4点です。4つの準備を整えることで、オンライン服薬指導移行に対する、法的・技術的要件への適応がスムーズに進むでしょう。
とくにビデオ通話システムの設置については、オンライン服薬指導をスムーズに行うために、適切なツールの選定が必須です。ビデオ通話機能を備えたアプリケーションや、服薬管理ができるプラットフォームなど、患者と安全に情報を共有できるツールを準備しましょう。
薬剤師の知識・スキル向上と患者への周知も必須
オンライン服薬指導にあたって、不安に感じる薬剤師の方も多いかもしれません。しかし、オンラインでのコミュニケーション技術や患者へのアプローチ方法など、新しいスキルを身につけることで不安を低減することが可能です。
たとえば定期的な研修やセミナーに参加して、知識とスキルを向上させることなどが効果的です。また、デジタルツールの操作技術だけではなく、オンラインでのコミュニケーション方法についても習得することが重要です。
また、オンライン服薬指導の利用を促進するためには、患者側の協力も必要になります。服薬指導をオンラインで受けるためには、サービスの受け手である患者もデジタル環境を整えなくてはならないからです。
患者にオンライン服薬指導サービスの利用を促すには、サービスの存在を知らせることが第一歩になります。具体的には「こんな便利なサービスがあります」というメッセージを、待合室のポスターやクリニックのウェブサイト、SNSを通じて積極的に発信しましょう。
サービスを利用することで得られるメリットを伝えることで、患者の興味・理解を深められます。そのために単に医学的な知識を伝えるだけでなく、どのような方法を採れば患者の日常にオンライン服薬指導サービスを取り入れられるかを考慮し、個人に合わせたアプローチを選択する必要があります。
たとえばイラストや写真、図を用いて直感的に理解できるよう説明したり、簡潔で理解しやすい言葉選びをすること、患者のフィードバックを積極的に求めたりすることなどが有効です。年配者などデジタル環境の構築が難しい方へのオンライン服薬指導の移行には、簡易操作のデジタルツールの選定や、ツールの初期設定や使用法に関する個別サポートの提供、患者の家族や介護者の協力の呼びかけなどが有効です。
これらのアプローチを通じて患者のデジタル環境への移行を促進し、全ての患者が高品質な服薬指導を受けられる状態を築くことが理想です。
まとめ
オンライン服薬指導は、薬剤師と患者の双方にとって新しい試みとなります。サービスの実態がわからなかったり、要件を把握していなかったりすると、準備をスムーズに進めることが困難です。しかし、適切な準備と理解で臨めば、患者・薬剤師の双方にとって利益が得られます。
患者にオンライン服薬指導サービスの利用を促すには、待合室のポスターやクリニックのウェブサイト、SNSを通じて積極的に発信し、サービスの存在を知らせることが有効です。デジタル環境の導入が困難な患者に対しては、操作が容易なツールの選定や、ツールの使用法に関するサポートを提供するなどの方法も検討するとよいでしょう。
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