調剤業務では、薬の取り違えや数量ミスを防ぐために複数の確認作業が行われています。その中でも、監査と鑑査は似た言葉として使われることがありますが、それぞれ確認する内容や目的が異なる作業です。そこで本記事では、監査と鑑査の違いをはじめ、監査システムが求められる理由や導入するメリットについて解説します。
似ている?処方確認と調剤後の最終確認の違いとは
薬局では患者に薬を安全に届けるため、さまざまな確認作業が行われています。監査と鑑査はどちらも重要な工程ですが、確認する対象や目的には違いがあります。まずはそれぞれの特徴を見ていきましょう。
処方内容を確認する「監査」
監査とは、処方箋に記載された内容が適切かどうかを確認する作業です。患者の年齢や体重、既往歴、服用中の薬などを踏まえながら、処方された薬の種類や量、服用方法に問題がないかを確認します。
処方内容に疑問がある場合は、医師へ問い合わせを行うこともあります。監査は患者が安全に薬物治療を受けるための重要な工程であり、薬剤師の専門知識が求められる業務です。
調剤結果を確認する「鑑査」
調剤鑑査は、実際に薬を準備した後に実施する最終チェックの工程です。処方監査を通過して調合された薬が、処方箋に書かれている内容通りに正しく用意されているかを確認することが目的となります。
具体的には、用意された薬の種類や規格に間違いがないか、数量が合っているか、ラベルの表示に誤りがないかなどを細かく見ていきます。
薬の取り違えや数え間違いといった、調剤の途中で起こりうる人間のミスを未然に防ぎ、患者へ薬を渡す前の最後の砦として機能する作業です。
調剤現場で監査システムが求められる理由
近年は人の目による確認だけでなく、システムを活用した監査が広く導入されています。その背景には、調剤現場を取り巻く環境の変化があります。
人為的なミスを減らすため
経験の浅い新人薬剤師は、薬の知識や業務に慣れていないため、調剤ミスを起こしてしまう危険性がどうしても高くなりがちです。
また、ほかの店舗からのヘルプや異動が多い職場でも、薬の配置や独自のルールに慣れていないためにエラーが起きやすくなります。監査システムがあれば、業務に慣れていない人でも安心して正確に調剤を進めることができます。
調剤業務の負担を軽減するため
薬剤師がひとりだけで切り盛りしている薬局では、調剤した薬を別の人が確認するダブルチェックを行うことができません。自分で用意して自分で確認することになるため、思い込みによる見落としやミスが発生しやすい環境になりがちです。
このような店舗では、人間の代わりに機械が客観的な目で確認してくれる監査システムがあることで、ミスの発生を強力に防ぐことができます。
安全性をより高めるため
大きな病院の前にあり、さまざまな診療科からの処方箋を受け付ける薬局では、取り扱う医薬品の数が非常に多くなります。同じ成分の薬であっても、先発医薬品と後発医薬品、規格の違い、水なしで飲める錠剤など、バリエーションが豊富です。
見た目が似ている薬も多いため、間違うリスクが高くなります。扱う薬の種類が多い現場ほど、システムによる正確な判別が必要です。
監査システムを導入することで得られるメリット
監査システムは単にミスを防ぐだけでなく、薬局運営にさまざまなメリットをもたらします。ここでは主な利点を紹介します。
調剤ミスが減り薬の廃棄コストも削減できる
システムを導入する最大のメリットは、目に見えて調剤間違いが減少することです。実際に、ミスの発生率が90%も減ったというデータもあるほど効果は絶大です。
間違った薬を混ぜてしまったり、別の袋に分けてしまったりした散剤や軟膏は、一度ミスをすると廃棄するしかありません。年間で大きな金額になりがちな医薬品の廃棄を減らせることは、大きなメリットです。
渡したはずの薬に関するクレームへ冷静に対応できる
患者から「もらったはずの薬が入っていない」という指摘を受けることは珍しくありません。データ上の数字だけで説明しても納得してもらえない場合がありますが、多くの監査システムには用意したお薬の画像を記録する機能があります。
証拠となる写真を患者に直接見せることで、お互いに納得してスムーズに解決できるようになります。
薬剤師の精神的な負担が軽くなり職場の雰囲気がよくなる
調剤ミスは薬剤師にとって大きな精神的ストレスになります。ミスが続くと職場の人間関係がギクシャクすることもありますが、システムがエラーを検知してくれれば、お互いに気まずい思いをすることが減るでしょう。
安心して働ける環境が整うことで、スタッフの離職率が下がり、新しい人材の採用にも有利に働きます。
手続きの間違いに気づきやすくなり事務作業の効率が上がる
処方箋のデータを受け付けでパソコンに入力する際、事務スタッフが打ち間違えてしまうことがあります。その場合でも、薬剤師が正しい薬を準備したときにシステムがエラーを出してくれるため、入力ミスにその場で気づくことが可能です。
調剤室にいながら処方内容を画面で確認できるようになることも、業務の効率化につながります。
まとめ
処方箋の内容を薬学的に吟味する処方監査と、用意された薬の正確性を確かめる調剤鑑査は、どちらも医療の安全を守るために欠かせません。しかし、人間の注意だけに頼る現場では、業務の複雑化に伴ってミスを防ぐにも限界があります。薬剤監査システムを導入することは、調剤事故を防ぎ、患者からの信頼を守るためにとても有効な手段です。働く薬剤師の精神的な負担を減らし、より質の高い服薬指導に集中できる環境作りのためにも、システムの活用を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
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